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税務ニュース 2011年

固定資産の管理


 固定資産とは、「企業がその営業目的を達成するために所有し、かつ、その加工もしくは売却を予定しない財貨は、固定資産に属するものとする」と定義されています。具体的には、土地建物や機械のほか、ソフトウェアや出資金などのように、会社が長期間にわたって所有・利用する資産のことをいいます。固定資産は、「有形固定資産」、「無形固定資産」及び「投資その他の資産」の三つに分類されます。
 固定資産は長期的に活用し資金を回収していく資産です。基本的に自己資本によって賄われることが理想ですが、中小企業では自己資本が過小な傾向が多く、実際は借入により賄うケースが多いのが実情です。したがって、取得前には慎重に投資の効率等を含めて検討し、投資資金が回収でき、借入金が返済できるかを十分に吟味しなければなりません。しかしながら、取得前にはこの固定資産を十分に検討できていても取得後の管理が適切になされていないケースがよくあります。今回のテーマは、取得後の固定資産の管理についてのお話です。
 中小企業における固定資産の管理は、経営していくうえで、固定資産台帳やリース資産台帳の作成、資本的支出と修繕費の区分の明確化など、通常、経理部が行っています。固定資産は長期間使用するものですから、紛失、盗難や災害による滅失などのチェックをするために、継続的に「現物管理」をすることが大変重要です。
 現物管理とは、帳簿上のみの管理ではなく実際に現物がどのような状況下にあるかをきっちりと確認し管理することをいいます。この現物管理は経理部でできることではありません。では、現物管理をする手順はどのようにすればいいのでしょうか。
 まずは、管理部署あるいは管理責任者を決めることが基本です。そして、経理部や総務部より現物実査依頼を行い、実査報告(固定資産の現在の使用状況、稼働状況、その他の状況)をもとに報告書を提出してもらいます。この際、不明な部分があれば、管理部署あるいは管理責任者へヒアリング等を行い原因を追究します。
 それをもとに、稼動状況や保守管理状況の管理簿を作成するなど現物管理をしたうえで、減損処理の判定、メンテナンスの可否、現物管理などの検討を行い、固定資産台帳等の更新を行います。

固定資産の除却

 固定資産は、長期間の使用や稼動頻度が過多で寿命が到来すると、廃棄することになります。また、まだ使用できる状態であっても陳腐化した場合などには新しいものと取り替えることになります。このような場合、固定資産の除却を実際に帳簿上でも行います。
 固定資産の除却は、現物管理の報告書の中で、現物を管理する部門から経理部に対して除却の申請を行います。そして、実際に除却の必要性を検討した上で除却の承認を行い、除却の事実を証拠として残すためには、廃棄の様子を写真に残すことや、資産を廃棄した証明書を処分した業者から入手しておくことなども重要です。これは税務調査においても、実際に除却処理をしたことを証明するために必要となる証拠書類になります。

固定資産の移動
 固定資産の設置場所を支店間や社内で移動することがあります。この場合、その事実を各管理部から経理部に報告することは重要です。なぜなら、部門別の損益計算を行うなどの管理会計上、各部門に付加するコスト計算などに影響しますし、建設業や製造業であれば原価計算にも影響します。
 償却資産税の申告についても、各資産の所在する市町村に対して移動の報告をする必要があります。経理部門では、固定資産の所在場所を常に正しく把握している必要があるため、移動の状況が漏れていないか現物管理時にチェックすることも必要です。

固定資産税・都市計画税の納付
 土地・建物を所有していると固定資産税が課税されます。また、土地・建物が所有する地域によっては、都市計画税も課税されます。固定資産税・都市計画税については、償却資産税もような申告は必要なく、毎年1月1日現在の所有者に対して市町村から税額の通知があります。納付は、原則として4月、7月、翌年2月の4回に分けて行うか、4月に一括納付します。税務上は4月の時点で全額を未払金として損金処理することが可能です。
 税額は、土地・建物の価格として市町村が基準年度(原則3年ごと)に評価した固定資産税評価額に応じて計算されます。都市計画税も同様です。固定資産税評価額に一定の負担調整措置等を施して算定した固定資産税標準額に対して、標準税率である1.4%を乗じて税額を算定します。(法律では、これ以上の税率を課すことを認めています)。都市計画税は同様に、標準税率0.3%を乗じて税額を算定します。

賃貸不動産の管理
 所有している固定資産のなかに、賃貸する目的で所有しているビルやまんしょんがある場合には、前記の固定資産管理のほかに、それぞれの物件ごとの収支や保証金・敷金を把握することも必要です。空室率が高い、家賃が滞っているなどのケースがある場合、収支や資金繰りに支障をきたすため、早急に改善するための対策をたてなければなりません。
 また、賃貸不動産は使用人が他人であるため自社利用とはまた違った意味での法的リスクを負います。そのことを含めた修繕計画や保険の加入も重要となります。

遊休固定資産の管理
 遊休固定資産の管理も重要です。現物管理を行った結果、固定資産の中に、現在使用していない遊休状態のものはなかったでしょうか?
例えば、稼働率が下がり使用を停止している製造用の機械や閉鎖した店舗跡地などの不動産です。このような遊休固定資産については、遊休状態にあることを常に把握しておかなければなりません。その上で、毎年発生する維持コスト(固定資産税等)を計算します。
 遊休固定資産については、会社に収益をもたらしませんし場所もとってしまいます。つまり、維持コストや家賃のみが延々と続くため、将来にわたって利用方法がない場合、早期に売却などの処分を検討することが望まれます。

減損会計
 中小企業では現在義務付けられておらず、法人税上も一部を除いて認められていませんが、固定資産の減損会計を意識して行うことも、適正な会計処理を行う上では重要なことです。減損会計とは、固定資産の収益性が悪化し、投資金額の回収見込みが立たなくなった帳簿価額を、一定の条件のもとで回収可能な額に減額させる会計処理のことをいいます。具体的には、対象となる固定資産が減損の兆候の有無があるかどうかを判断します。
 その結果、減損の兆候があり、かつ将来キャッシュフローの総額が簿価を下回る場合には、帳簿価額とその回収可能な金額との差額を減損損失として財務諸表に反映させます。減損会計とまでいかなくても、現在の固定資産の時価を知ることも経営上重要なのです。